銀杏古書堂の素人ネタ

Bがボケて、Aがつっこみます。逆にすればよかったと思っています。たまに違うやつもあります。贔屓目に見てセトウツミのパクリみたいなもんです。

◯おばけ

B「おばけ見てん」
A「うわ」
B「女型のおばけ」

A「進撃の巨人みたいに言うな」

B「ほんまに見てん。女性のおばけ」
A「うわうわ。どこで?」
B「コンビニで」
A「コンビニ?」
B「うん」
A「何時ぐらい?」
B「2時」
A「2時かぁ」
B「うん」
A「どんな服装?」
B「エスニック調で」
A「むっちゃおしゃれやん」
B「うん」
A「足は?」
B「tevaのサンダル」
A「流行りのやつやん。足のあるなしで聞いたんやけどな。それはもうおばけちゃうやん、もしくはつい最近おばけになってるやん」
B「うん」
A「そいつはコンビニで何してたん?」
B「俺の前にレジに並んでた」
A「何買ってた?」
B「今週号のジャンプ」
A「いつの話?」
B「今週の水曜」
A「おばけなりたてやん。ジャンプって毎週月曜発売やろ?なりたてやん、それかおばけちゃうやん」
B「それとビールと焼き鳥とカップ焼きそば、んでキュウリのお漬物とイカの塩辛」
A「むっちゃ見てるやん」
B「うん」
A「いちいち、うん、って言うのやめて?」
B「うん」
A「それほんまにおばけやったん?」
B「俺もそう思ってん。でも何か普通の人とはちゃうねん。変なオーラがすごかってん」
A「ほう」
B「うん」
A「うん、って言うのやめて?」
B「うん」
A「そのおばけは1人?」
B「子供おってもおかしくないぐらいの年齢やったけど」
A「未婚かっていう意味で聞いたんちゃうねん。1人でそこにいたのかどうかを聞いてんねん」
B「いや、2人」
A「2人?」
B「うん」
A「もう1人も女性?」
B「うん」
A「どんな服装やった?」
B「スウェットでビーサン、長財布を胸のあたりに抱えてたで」
A「そいつん家泊まりにきたんやろな。エスニック調のやつ」
B「ノーブラなのを隠すかのようにずっと腕組んで長財布抱えてたわ」
A「そこは別にええけど」
B「うん」
A「うん、って言うのやめて?」
B「うん」
A「おばけとはいえ深夜にカップ焼きそばはよくないなぁ」
B「昼の2時やで」
A「昼なん!?」
B「ヒルナン…」
A「それは言うたらあかん」
B「ごめん」
A「そこでは、うん、言わんのかい」

◯窓際

A「どうしても窓際やないとあかんねん」

B「飛行機とかのこと?」

A「そうそう。飛行機もせやけど、乗り物系の全般的に」

B「原付きは?」

A「えっ?」

B「原付きはどうなん?って」

A「いけるに決まってるやろ」

B「いや、窓ないやん」

A「窓がなくても景色見えてるやん」

B「せやったら景色見えなあかんねんって言わな」

A「屁理屈みたいな事言うな」

B「スペースコースターは?」

A「宝塚ファミリーランドにあったやつ?誰が覚えてんねん。ディズニーランドのスペースマウンテンでええやんけ」

B「スペースコースターはどうやったん?って」

A「いけるよ」

B「室内で景色見えへんやん。暗いし」

A「ジェットコースターはいけんねん」

B「それやったら景色見えなあかんねん、ジェットコースターはいけんねんって言わな」

A「それ最終的に生まれてきたところから話さなあかんくなるやつやんけ」

 

A「苦手な乗り物とかある?」

B「苦手なんはないけど、好きなんはあるで」

A「何なん?」

B「おん…」

A「やめろ!」

 

 

お題「好きな乗り物」

◯選択

B「しもた」

A「えっ?どうしたん?」

B「洗濯し忘れて明日の服ない」

A「選択の話をせえよ」

B「洗剤も入れてたのに」

A「せんたく違いやねん」

B「ボタン押すだけやったのに」

A「服ないって何日分の洗濯物やねんな?」

B「半年分やけど」

A「洗濯機の大きさと服の量おかしいやろ」

B「半年分やけど」

A「半月分やなくて?」

B「半年分やけど」

A「……」

B「次は年齢の話ですか」

A「無理矢理にお題をこなそうとしてる感がすごいし、選択の話はもう終わりなん?」

B「洗濯機のボタン押すか押さんかの選択やってんけどな」

A「それはただのミスや」

 

B「さぁて、次は年齢の話ですか」

A「ないんやったらええんやで」

 

 

◯みんなせやけど

B「負けたねぇ」
A「藤井4段?負けてもたなぁ」
B「いや、ウイリアム・レンショー」
A「誰やねんそれ」
B「1880年代に活躍したテニス選手やん」
A「古すぎるやろ」
B「ウインブルドン6連覇やで」
A「すごいけど。古すぎるて。でもウインブルドン6連覇の間には何回か負けてるやろ?」
B「そこまでは知らん」
A「そこは知っとけよ」
B「将棋できる?」
A「動き方とルールを知ってるぐらいやな。できる?」
B「将棋の話はどうでもええねん」
A「なんやねん」
B「ちなみにウイリアム・レンショーもどうでもええで」
A「両方お前発信やねん」
B「興味ないし」
A「なんやねん」
B「松居一代船越英一郎のいざこざより興味ないわ」
A「あれより興味ない話なんかある?それは将棋に失礼すぎるやろ」
B「さすがにそうか」
A「うん」
B「俺が言いたいのは若い天才ってのはかっこええなぁって事よ」
A「ウイリアム・レンショーって早熟やったん?」
B「知らん」
A「なんやねん」
B「ウイリアム・レンショーの話はもうええねん」
A「なんやねん」
B「藤井四段の話よ」
A「藤井四段ってまだ14歳やっけ?中2か。すごいよな」
B「中2の頃って何してた?」
A「部活してたからテニスかな。Bは?」
B「オ…」
A「やめろ!」

 

◯兄弟喧嘩

B「妹と弟がまだちっちゃい時にさ」
A「うん」
B「ケンカし始めて」
A「ケンカの理由は?」
B「俺の4つ下の妹、その3つ下が弟やねんけどさ」
A「うん」
B「2人とももちろん俺のことは、お兄ちゃんって呼ぶんよ」
A「もちろんかは知らんけど。んで?」
B「弟は妹のことを名前で呼ぶねん」
A「うん」
B「それに妹がキレて。お姉ちゃんって呼べ!って」
A「可愛いな」
B「もう無理や!って弟と言い合いになって最終的に両方号泣して」
A「うん」
B「それを俺は二階の部屋で聞いてたんやけど」
A「うん」
B「急に弟が階段をドタドタ上がって来て」
A「うん」
B「死んでやる!って言いながら」
A「むっちゃ可愛いやん」
B「せやねん。んで俺の部屋の前まで来たから、入っておいで、って言って。んで手を広げておいでって」
A「抱きしめてあげたんや」
B「いや、左フック」
A「やめたれや」
B「左フックからの右アッパー」
A「やめたれや」
B「そして左ハイキック」
A「やめたれや」
B「よろけた弟の首を掴んで首相撲から膝を連打」
A「やめたれや!」
B「そしたら弟が床にドサっと倒れて」
A「可哀想に」
B「虚ろな目をした弟がこっちを見ながら」
A「何て言ったん?」
B「ありがとうございました」
A「どんな兄弟関係やねん」

◯くるぶしの話

僕は力いっぱいボールを投げた。
そのボールはきれいな放物線をえがき、となりの家の塀を越え、庭で盆栽をいじっていた老人のみぞおちあたりを貫通し、窓ガラスをぶちやぶり、奥の障子をやぶり、キッチンで煮物をつくっていた老婆の左のくるぶしを直撃し、それが外れ、右のくるぶしにぶつかり、その勢いで右のくるぶしを押し出し、左のくるぶしが右足におさまったんだ。
行き場をうしなった右のくるぶしは、立ち上がり、何が起こったか分からず倒れている老婆を横目に、煮物をつくるためにつけられていたガスコンロの火を消し、玄関から外へ出ていったんだ。
僕はその一部始終を目撃していた。
何故か、見えていたんだ。
すいません!と大声で叫び、塀と窓ガラスをぶちやぶり、盆栽をいじっていた老人を小脇にかかえ、老婆に駆け寄った。
「だいじょうぶですか?」
老婆は答える。
「くるぶし。くるぶしを知らないかい」
「さっき玄関から出て行きましたけど」
そうかい、と老婆は肩を落とす。「足の長さが合わなくなって不便になるねぇ。さみしいねぇ」
「すいません。僕がボールなんて投げてしまったから」
「いいや、あんたのせいじゃない。あの子、きっかけが欲しかったんだよ。昨日も『もう僕を自由にしてくれ!』って大声でわめいてね。大変だったんだよ」
「くるぶし、の話ですよね」
「そうだよ」
「はぁ」

世界は広い。
そう感じさせられる一日だったんだ。


「俺を探しているというのはお前か。俺は帰らないぞ。婆さんのくるぶしなんてもううんざりなんだ。せめて若くて綺麗な子がいい」
くるぶしのくせに生意気を言うな、という言葉を「くるぶしのくせに生意気を言」でなんとかとどめ、僕は続ける。「そんなこと言わずにさ、帰ろうよ。お婆ちゃんがさみしがってたよ」
「そんなわけない!これを見てみろ!」くるぶしは体を横に向け、人間でいう脇腹の部分を僕に向けてきた。そこには切り傷が多数あり、イソジンで消毒されていた。
「あの婆さんにやられたんだ!これは立派なDVだ!」
彼の発した叫び声に通行人がこちらを振り返り、
「低い位置から聞こえたな」「いや、高い位置から聞こえただろ」「いや、真ん中だろ」「それでもミラか」「いや俺、ミラじゃねぇし」とざわつく。

「DVではないよ」
「どうしてだ!」
「君がお爺ちゃんにやられていたのなら、それは立派なDVだろう。でも君はお婆ちゃんにやられたんだろ?お婆ちゃんは自分の体を傷付けたに過ぎないだろ」
「でも」
「単なる自傷行為じゃないか。
それに君はお婆ちゃんの体の一部に過ぎない」
「そんな…僕は、僕は」
それから小一時間、くるぶしは荒れ狂うように泣き続けた。

僕はくるぶしと話すのにも飽き、お婆ちゃんの家に向かったんだ。

昨日、夜遅くまで磨いていた、とっておきの斧を持ってね。


「お婆ちゃん、入るよ」
僕が金太郎よろしく斧をかつぎ、玄関のドアを開けると、老婆が立っていた。鬼の形相ならぬ、蟹、あるいは鰐の形相で、わなわなと震え、こっちににらみをきかせていた。
「主人の…主人のかたき!」足の長さが違うからか、恐ろしくゆっくりとしたスピードで、僕に向かって飛びかかってくる。
今更?と思いながら、僕はそれをひらりとかわし、反撃に転じようと斧を振りかぶった、その時、
「やめろ!」
という声と共に爆発音が響き、やがて脇腹が燃えるように熱くなる。撃たれたのか?僕は撃たれたのか?重力の思うがままに地面に吸い寄せられていく。最後の力を振り絞り、背後に目を向ける。
そう、くるぶしである。
くるぶしごときが…やりやがったな…この野郎。どうやって銃持ってどうやって引き金を引いたんだよこの野郎。馬鹿野郎この野郎。

「婆さん!ごめんよ!俺、俺、どうかしてたみたいだ!」くるぶしが老婆に駆け寄る。感動的なシーンだな、と僕は力つきそうにかる。
しかし、ふとサブタンクの存在を思い出し、それを使い、僕のHPはMAXと戻っていく。
そして右手にある、夜なべをして磨き上げた斧で老婆をぶった切り、左手のロックバスターでくるぶしをチリにする。
「手こずらせやがって」
僕が肩で息をしていると、奥の部屋のドアがガチャっと開いた。
「ご苦労。約束の金だ」
僕は胸に穴をあけた老人から金を受け取る。「もう業者は呼んである。死体のことは気にするな」
「了解」
帰ろうと、玄関のドアに手をかけたがもう一度振り向き、その老人もくるぶし同様、チリにする。
そこで携帯電話が着信を告げる。
すぐにそれに応じる。

 

「お電話ありがとうございます。くるぶしヤマト引越しセンターでございます!」


その日見上げた夕陽が、僕の目には青く映ったんだ。それはそれは、青い夕焼けだった。青い光を放つ太陽が山間に沈んでいった所を僕は確かに見たんだ。